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 「では、回します」。岸浪先生が風を送る装置の電源を入れると、ブーンという音とともに風車が回り始めました。
 「私も最初は『風力なんて』と思ってました。それが、ハワイの風車を視察したとき、現地の人たちが『俺達は真剣なんだ』と言うんです。これに誘発され、研究するようになりました」。
 先生によると、風力発電の難しさは、得られるエネルギーが風速の3乗になる点にあるといいます。要するに、風の強弱によって発電量がデコボコに、大きく上下するため、電気として使いにくいというのが国内での評価だったそうです。「このデコボコも、ヨーロッパのように、広い範囲に風車をたくさんつくれば解決できるということが、やっと理解されるようになりました。こっちで風が弱くても、あっちで強く吹いていればいいわけですから。ただ、ヨーロッパは日本と違って地続きなので、各国が送電線で結ばれており、電気をやりとりできます。日本は周りが海なので、そう簡単にはいきませんが、北海道はサハリンが近く、ロシアとの連携だって可能です。室蘭は、北海道の中でも特にいい風が吹くところ。風力発電は私のライフワーク。これからも研究を続けますよ」。






(左)岸浪先生が考案した安全装置。「台風などで突風が直撃すると、風車が壊れる恐れがあるので、安全装置は不可欠」だそう。



(左)風車はもちろん、風を送る装置や、プロペラの回転を数える機械もオリジナル。どれもパソコンで結ばれ、実験結果を解析できるようになっている。「コンピュータを専門とする先生に協力してもらいました。専門家の協力が得られる大学だからこそ、総合的な研究ができるんです」。
白鳥大橋にある室蘭市の風車。岸浪先生によると、風車の稼働率は普通20%前後なのに対し、白鳥大橋の風車は年間平均で30%台、冬は60%台に達するそう。冬は一年の中で最も電気が消費されるので、願ったり叶ったり。


 21世紀は環境の時代といわれます。地球温暖化のもとになる炭酸ガスを出さない風力発電は、まさに21世紀のエネルギーです。工業都市として栄えてきた室蘭には、技術力があるのですから、これからのエネルギー・風力の先駆地になってもいいのではないでしょうか。これは特に若い人に申し上げたいのですが、失敗なしに新しいものは生み出されません。失敗を恐れず、風力という無限の可能性を秘めたエネルギーを生かす、追い風になってほしいですね。

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